漢方小説 中島たい子 集英社 2005・6・15 完読 2005/06/29 09:31


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 昔つきあっていた人に久しぶりに会ったら、来月幼馴染と結婚するという。それを聞いてからというもの、どんどん体がおかしくなってしまって、セルフ・ロデオマシーンのようになり救急車で運ばれる羽目になった。
 動悸が激しく胃の調子も最悪。医者を転々としたが、どこも悪いところは見当たらない。私の状態を分かってくれる医者はいないのだと思った。

 子どもの頃から喘息持ちで高校のときに通った事のある、歳を取った漢方医を思い出して行ってみた。が、高校の時から変わらないドアの向こうには、若い先生が。
 西洋医と違って私の五人目となる先生はドキドキする場所をピタリと当ててしまったのだ。

 わたし(みのり)はどちらかというと控えめで、生きるのがヘタなくらい生真面目な31歳の女性。
 みのりの周りには、うつ病のさっちゃんや個性的な人たちがたくさん。やっぱり、どこかにくめない生きるのが下手な人たちの集まりかなって思いました。
 漢方の先生に一目ぼれ?して、知らず知らず自分の病気に真剣に(ネットで中医基礎理論の中古本を買うほど)取り組んじゃうほど真面目なんだ。すごくかわいい。

 失恋した女の人が立ち直っていくお話なのに、くすくす笑えたり、ちょっと寂しく笑ったり、どん底の暗い印象は無くて、自分の心に答えを見出していくみのりにすがすがしい感じばかり残りました。