鳥はみずからの力だけでは飛べない 田口ランディ 晶文社 2005・7・28 完読 2005/07/30 10:41

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 田口ランディさんが、ひきこもっている友達の子供にむけて書いた手紙、計10通が1通1章のようにしてまとめられている。
 
 なにごとにも深く考えている田口さん。
 その田口さんが友人の17歳の少年に対して真剣に書いた手紙は、まるで17歳のための哲学書のようでした。そしてひきこもりの少年の親に対しての考えも、まるごとひきこもりを肯定しすぎるのはどうか、ひきこもってまでも何かを訴えてきているのに肯定していては本当の問題から目をそらしているのではないか、と訴えているように思いました。
 ひここもる原因は人それぞれあるだろうし考え方だって色々だろうけれど、ひきこもっていた兄を亡くしている田口さんだからこそ、“こう考えておいたほうが楽”のような考えでなく、一時しのぎじゃない真剣な言葉をかけてあげれるのかもしれません。

 題名になっている“みずからの力”

『自らと自ずからが重なったような時、私はまるでふわっと鳥が飛び立つように人生の風に乗ることができた。
鳥は自ら飛び立とうとする時に自ずから風が吹く。それであんなに飛翔できるんじゃないかな。』

 ひきこもりをしている少年に田口さんの自らの意思で書いた手紙が、彼の自らの意識に作用して自ずから外に出て行けますように。
 ひきこもりの事を抜きにしても、自分に問いかけてくれた一冊でした。

 田口さんが、この本の中でたくさん勉強されています。その諸先生方の本の紹介が、“鳥はみずからの力だけでは飛べない 読者のためのブックガイド”としてはさみこまれています。興味シンシン。


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nanao > やっぱり、読みごたえがありそうですね。
肯定しすぎる、そうかもしれないですね。
読んでみます。 (2005/07/29 06:59)
three bells > 田口さんが正直で嘘のない人だから、気持ちよく入ってきました。nanaoさんの感想楽しみにしています。 (2005/07/29 15:06)