ハッピーノート 草野たき 福音館書店 ¥ 2005.9.1 完読 2005/09/03 20:45

☆☆☆
 小学校6年生の女の子、聡子がうまくいかない友達関係を自分なりに解決していく物語。

 とても自分勝手なのり子、帰国子女の世津、障害を持ったなおちゃんの4人グループでいつも行動している。
だけど、いつも自分のペースでひとに命令したりするのり子が嫌で、公立の同じ中学に行きたくないから塾に行って勉強している。
 嫌われてるなんて、のり子は気づいてない。きっと世津だって同じように子分みたいに扱われているから嫌なんだと思う。

 塾に行くのは霧島くんと一緒に勉強できるから、というのもある。
霧島君は塾の中ではあまりしゃべらないけれど、帰りに待ち合わせてミスドで複習したりするのがとても楽しみ。
霧島君とお互い苦手な所を補い合って問題の答えを交換し合ってコメントをつけてあげたりするノートを作った。それがハッピーノート。

 学校ではのり子が嫌だけれど、その場をうまく切り抜ける嘘をついたりするのは平気な事。塾でも初めからAクラスで入ってきたリサに近づいてどうしてそんなに勉強できるのか、探りを入れたり、無理して話をあわせたり。

 そんな聡子もリサに気を取られているうちに成績はがたおち。のり子から逃げるために世津は転校してしまう。
自分に矛盾を感じている、聡子のイライラはつのっていく。

 聡子が自分を変えるきっかけはお母さん。
自分を高める仕事がしたいと探すお母さんにしごとは見つからず、大きい声を出すのが苦手なくせに、デパートの食品売り場の売り子さんになってしまう。
聡子は無理して働くお母さんがどうしても惨めに見えてしかたがない。それでも日増しに元気に生き生き働くお母さんをみなおす。
 
 のり子から逃げても、私立の中学にいったって同じような子はいるはず。聡子はのり子に対して臆病にならずに自分の気持ちをいいはじめる。
始めはお互い反発しあうがやがて、
「正直だと、ぶつかってばかりで疲れる。嘘ばっかりだと、つまらなくてイライラする。でもときどき意見をゆずると、逆にゆずってもらえたりする」と気づく。

 今頃の6年生、特に女の子はグループの決まりなどあって大変なんだな。
自分で考える時間を与えた両親はすばらしいな。
 のり子のこと分かる気がする。仕切りやさんで、おせっかい、それは人に迷惑なんだろうけど、私の子供の頃にそっくりで笑ってしまった。

 最後はハッピーノート大活躍。正直でいれる聡子になってよかった!

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キイロイトリ草野たきさんの本はなんとなく全部読んでいるのですが(題名や表紙が好み)なんとなく読みやすくてまぁまぁ好きです。このお話は私も小学校の頃の女子のグループとかなんか嫌だった頃の自分とか思い出しました。 (2005/09/12 11:17)
three bells > 草野さんの作品は初めてでした。キイロイトリさんのお薦め教えてくださいね。 (2005/09/12 20:57)