ナラタージュ 島本理生 角川書店 2006.6.26 完読 2006/02/26 22:32


☆☆☆
 ナラタージュは「映画などで、主人公が回想の形で過去の出来事を語ること」
 もうすぐ結婚する泉。
今でも呼吸するように思い出す葉山先生とのこと。
思い出すことでそれを過去だと意識し現実から切り離す作業を繰り返している。
こんなに好きでも、一生二人の人生は交差する可能性はゼロに近い。

 私は回想に登場する人物で、葉山先生の泉に対する行動は好きになれない。でも、こんな先生がいたらいいのにとは思う。
泉の演劇部時代の友達クロちゃんと志緒のカップルが一番理想的。

 私もいつも思い出す過去がある。思い出すたびにそれはどんどん嫌な事をそぎ落としてスマートになり美しくなっていく。
あのまま、あの人生を選んでいたら…そう思う時もある。

 泉もきっといつか葉山先生との事を本当の過去にしてしまえる彼にいまめぐりあっているのだと思う。

 島本さんの淡々とした文章が、泉と葉山先生のことをどんどん切なく感じさせていて胸が苦しくなった。

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キイロイトリ > こんにちは。この本は友人にすすめられて読んだのですが、すごく切なかったです。島本さんの小説はいつも過去を思い出してしまって、、冷静に読むことができないのですが、恋も現役?の若い頃に読んだらきっと泣くのではないかなと思いました。恋愛小説としてすばらしい作品だと思います。 (2006/02/27 09:28) butti > three bellsさん、ご無沙汰してます。この本は、自分の「過去」をすごく鮮明に思い出させられて、読んでいて胸がキリキリしました。すっごく久々でしたよ〜、そんな感情まだあったんだ(ToT)って。「過去」に好きだった気持ちは、「現在」幸せならば捨てなくてはいけないなんてことはないんだ。その気持ちはずっとずっと持っていてもいいんだ、そんな風に思わせてくれた一冊でした。素敵な本でした。 (2006/02/28 02:26) 雨あがり > この本を読んだ時のあのなんとも言えない気持ちがまた蘇ってきました。痛いような切ないような。。。私のようなオバサンにもこんな気持ちを思い出させてくれたこの作品を、まだお若い作家さんが書いているということが驚きでした。 (2006/02/28 10:12) three bells > キイロイトリさん、本当は葉山先生に怒りながら読んでいたので(笑)何あまえとんじゃい!って。でもそこまで気持ちが重なってる人にめぐり合えて幸せですよね。 (2006/02/28 10:27)
three bells > buttiさん、お久しぶりです!私も今の幸せを実感するためにも大切な思い出は必要なんだなと思いました。大切な思い出とともにその頃の自分を思い出せるのは幸せですよね。 (2006/02/28 10:32)
three bells > 雨あがりさん、ほんとうに若いんですよね島本さん(笑)すごい作家さんだとおもいます。きっといろんな事が頭に詰まっていて、あふれ出てくるステキな文章を吐き出す作業をしているのでしょうね。 (2006/02/28 10:38)