夏の洞窟 荒川じんぺい くもん出版 2006.6.25 完読 2006/06/26 14:19

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 武人と竜也は六年生。長野県の周りは山に囲まれた所に住んでいる。
 今は農家の出荷時期で、毎年この時期は親が忙しく一人っ子の竜也は家で一人ぼっち。
 親友の武人に「なんか変わったことしたい」と持ちかけ、武人は村のおじいさんに聞いた洞窟探検はどうかと持ち出す。
 どうせなら一泊しようと相談を念入りにしていたら勝気な美穂が自分も行くと言い出した。美穂はサマーキャンプにも参加した事があり、キャンプに詳しい美穂を隊長にして三人で行く事にする。

 この洞窟は前に、おばあさんが暮らしていたが行方が知れなくなっていた。その頃使っていたらしい鍋やら生活品を洗い、持ってきたコンビニのおにぎりをキノコといっしょに「おじや」にしたり、楽しく過ごせた。
 自分達で作った寝袋に入り、将来の夢を語りながら寝入った後、地震と共にはるか昔の時代にタイムスリップしてしまった…

 小学生の三人ができる限りの知恵を絞って生きる姿がすばらしい。一大事に笑って前向きに判断していく三人。相手を思いやる事や、自分は何ができるだろうとさみしい気持ちを抑えて仕事を見つけ、その時代の人に協力していく。
 仕事を手伝ううち、現代の、お金でなんでも揃う時代、飽食時代に疑問を持つ三人が生き生きと書かれていた。