会うまでの時間☆☆☆

会うまでの時間 自選歌集

会うまでの時間 自選歌集

 プーさんの鼻と同時に刊行されていた自選歌集。今までの歌集「サラダ記念日」「とれたての短歌です。」「もうひとつの恋」「かぜのてのひら」「チュコレート革命」の5歌集 1400首あまりの中から394首を自選したもの。
 恋の歌、日常の歌、たった一行の言葉なのにどれも情景が見えてくる。
プーさんの鼻は子育てのことが中心だったから、順番はこの作品から読んだ方がよかったのかも。
日常の歌には食べ物の名前がよく登場するからか、一番共感できる歌だ。
白菜が赤帯しめて店先にうっふんうっふん肩を並べる
自転車のカゴからわんとはみ出してなにか嬉しいセロリの葉っぱ

叶わぬ恋を歌ったものは、夫の愛人からの手紙を読んだような気持ちで…
妻という安易ねたまし春の日のたとえば墓参に連れ添うことの
そして、先生だったた俵さんが学校を去るときの情景を歌ったものは、今の季節と重なった。
はなむけの言葉を生徒に求められ「出会い」と書けり別れてぞゆく

1コマ1コマ、写真をめくるように読めた。