ラン☆☆☆☆

ラン

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 家族を亡くしその後引き取ってくれた叔母さえ亡くし天蓋孤独になった環が、自転車を買い求めた先の店主と馴染みになった。店主も妻や子供を亡くし、お互いに「あの世より」の人間として感じるものがひきつけたのかもしれない。店主は母親の住む山形へ引っ越すことを決意し、子供の誕生日に贈ろうと思っていた自転車を環に贈る。自転車に乗っていて偶然、この世と冥界のラインを超えてしまった環は・・・

 久しぶりに森さんの文章を読めることにワクワクしていました。
結果的に言えば未来が見えるおわりでとってもよかったのですが、最初のページから気持ちが沈んで、ラインを自転車で超えた所から死の世界に対してこんなに軽くていいのかなーと。
 この調子だと分厚くてダレてくるのでは?と心配しましたが熱くなったり冷めてきたりの繰り返しでしたが読後感は爽快でした。

 おばさんの言葉
「私たちの喜びも悲しみも、下界で身につけたすべては溶けて、ふたたび下界に還元されるんだ。タマが受ける陽射しや風や雨や、それらに育まれる植物や穀物のなかに。私も、姉さんたちも、だからいつだってあんたの一部なんだよ」

 いつもどこかで見守ってもらってると感じています。
 お盆の時期に読めたこともよかったです。