時をこえてスクランブル☆☆☆

時をこえてスクランブル (新創作ブックス)

時をこえてスクランブル (新創作ブックス)

 カフェの窓から見えるスクランブル交差点。
散歩に出ためぐみは今日も渡れないでいた。
 散歩に出るようになったのは息子の嫁の提案だった。
夫が亡くなってから張り詰めていたものが途切れ、息子夫婦の誘いで東京で同居を始めたものの慣れずに閉じこもっていたからだ。
けれど、この急ぐ人並みにはどうしても一歩が踏み出せない。
 渡れない交差点を見ていると同じ時間に行く散歩だから、いつも急ぎ足で去る女の子が気にかかる。
 今日は思い切って渡ろうと試みたが真ん中で足がすくむ・・・とその時、あの女の子が声をかけてくれた。
若い頃のように、走るように渡る事のできためぐみ。。。
 そのスクランブル交差点を渡ってしまうと本当に15歳のめぐみになっていた。
 女の子は理沙。中学受験を前に塾に急ぐ所だった。理沙が声をかけたのは15歳のめぐみにだった。
 理沙の家庭の問題がめぐみが関わることによって好転していき、めぐみも15歳の頃の自分を思い出す事で生きる力をまた得ていく。