おとうさんのちず

おとうさんのちず

おとうさんのちず

 戦争で故郷を追われたぼくたちが命からがらたどりついたのは、夏は暑く、冬は寒い東の国。
食料は乏しく、土を固めた床の上で眠る毎日。
 あるとき、お父さんは街にパンを買いに行ってなかなか帰ってこなかった。
お母さんと心配していると、ようやく帰ってきたお父さんが買ってきたものは「ちず」だった。
 お父さんはひどい!そう思った。けれどお父さんが壁に地図を貼ると暗い部屋にいろがあふれた。
一時しのぎにパンを食べてもまたお腹がすくだけ。
 地図を眺めていると地図の魔法で様々な国に行き、美味しいものを食べる所も想像できた。
 お父さんは正しかった。
 
地図は心を動かす宝物だ。